黒島の土壌を観てみよう!【竹島・硫黄島との違い】

こんにちは

みしま焼酎 無垢の蔵 杜氏の坂元です。

焼酎みしま村に使用しているサツマイモといえば「黒島産のベニオトメ」です。

一般的にサツマイモ栽培では、肥沃すぎず、通気性と排水性の良い土壌が良いとされています。

では、こちら画像をご覧ください↓

農研機構日本土壌インベントリー (NARO, Japanese Soil Inventory)より

この画像は黒島の土壌を色で分類した地図(左)と 衛星写真(右)です。

色の分類は以下の通りです。

赤・・・粘土集積赤黄色土

黄・・・固結岩屑土(こけつがんせつど)

どういう土壌なのか?

サツマイモ栽培に適しているのか?

これを見ただけでは、よくわからない・・・。

ということで今回の記事では、古い火山の島と言われる黒島の土壌について、そして竹島・硫黄島の土壌についても書いていきたいと思います。

黒島の大部分は粘土集積赤黄色土【有機物の堆積が少なく風化が進んでいる】

西南諸島(九州南方から台湾北東にかけて位置する島嶼群で竹島・硫黄島・黒島が最北端に位置する)には粘土集積赤黄色土が多く分布しています。

粘土集積とは、土壌に浸透してくる水の影響により土壌上層部の粘土が下層部に集積することをいいます。

赤黄色土とは、土壌分類のうちの1つで、有機物の堆積が少なく痩せているという特徴があります。

私がサツマイモ栽培を始めた頃、島民の方々から「黒島の土は赤土・粘土だよ」と言われた記憶があります。

黒島の土壌分類地図では、黒島の大部分が粘土集積赤黄色土です。

実際には高度や植生ごとに異なる土壌が出てくるとは思いますが、黒島の生活圏では赤色土をよく目にします。

粘土集積赤黄色土は触った時にパラパラ・サラサラと砕けるくらいキメの細かい土です。

キメの細かい土はち密な土壌となってしまうので、透水性が悪く、保水力もありません。

通常、農耕地では作物生産の安定化のために堆肥などの有機物を施肥します。

土壌中の微生物が有機物を分解し、分解物が団粒になり、団粒どうしが結びつき土壌中のすき間が多くなり空気や水の通りがよくなります。結果、排水性が良く保水力もある土壌となります。

よって、粘土集積赤黄色土の土地でサツマイモ栽培をする時には、有機物の補給などの土壌改良が必要になってきます。

黒島の沿岸部は固結岩屑土【岩石表面の風化物からなる未熟土】

黒島の土壌分類地図では、島の沿岸部は全て固結岩屑土(こけつがんせつど)でした。

固結岩屑土とは、主に岩石表面の風化物からなり、地表から30cm以内に固結した岩盤が現れる未熟土を指します。

侵食の激しい山地や丘陵地などの傾斜面に分布し、主に樹園地として利用されているそうです。

黒島の沿岸部は雨風が強く塩害も受けるはずですが、こんなにも過酷な環境で一体どんな樹木が生えているのでしょう?

気にしたことがなかったので観察してみました。

大里港にあるイノクチ川の河口付近にたくましく生えているこちらの樹木。

葉を拡大すると↓

先端が丸く、葉脈が3本入っています。

これはマルバニッケイという常緑亜高木で、日本固有種で九州と西南諸島の沿岸の岩場や砂地に分布しています。

葉は小さく、横に広げるのではなく縦に立っていて、沿岸部の強すぎる日差しを避けている様な感じです。

竹島・硫黄島の土壌【黒島には無いアロフェン質黒ボク土、火山放出物未熟土】

農研機構日本土壌インベントリー (NARO, Japanese Soil Inventory)より

固結岩屑土は竹島・硫黄島にも分布しています。(黄色の部分)

竹島・硫黄島には、黒島には分布していない土壌があります。

竹島の大部分が茶色になっていますが、これはアロフェン質黒ボク土の分布を表しています。

アロフェン質黒ボク土

最も普通に見られる黒ボク土。主として火山放出物を母材とし、良好な排水条件下における風化によって生成した結晶度の弱い粘土鉱物(アロフェン、イモゴライト)と腐植の集積によって特徴づけられる土壌。

農研機構日本土壌インベントリー (NARO, Japanese Soil Inventory)より

言葉では理解しにくいかもしれませんが、

農研機構日本土壌インベントリー (NARO, Japanese Soil Inventory)より

こうすればどうでしょう。

茶色の部分全てアロフェン質黒ボク土です。

鹿児島県はほとんどがアロフェン質黒ボク土なんですね。

つまり火山灰由来の土です。

そして、硫黄島の硫黄岳周辺に分布する薄茶色の土壌は、火山放出物未熟土です。

噴火から年数が少なく風化していない火山灰や軽石からなる未熟土です。

”薩摩富士”こと開聞岳の周辺や、桜島の周辺にも分布しています。

農研機構日本土壌インベントリー (NARO, Japanese Soil Inventory)より

アロフェン質黒ボク土と火山放出物未熟土は両方とも火山の放出物由来の土壌です。

そう考えると、黒島は火山の噴出物から受けた影響が少ない土壌なんですね。

 

土壌の性質や成り立ちを学ぶことはいろんな角度からの発見があり面白いですね。

今回はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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