ドキドキワクワク蒸留工程|おらが村の焼酎が、できました♪

皆様こんちには!

無垢の蔵の臼木です。

この記事を書いてるのは11月初旬。
黒島も少しづつ朝が冷え込むようになり、離島の冬を感じつつあります。

さて、今回は焼酎造りの最終工程、『蒸留』のお話です。

美味しい焼酎は、出来るかな???

そもそも蒸留って何?っていうお話

まずは言葉の説明から。

さてさて、『蒸留』とは・・・

こちらの記事『ぽこぽこぶくぶく二次仕込み』で紹介した二次モロミから、『焼酎』としての液体成分を選択的に取り出す工程になります。

少し化学的なお話をすると・・・

二次仕込み(=並行複発酵)が終了した二次モロミとは、一言で表現すれば『芋のどぶろく』です。

見た目はこんな感じですね。

二次もろみ

この中には、『エタノール(=アルコール)』『香気成分(=香りの成分)』『水』などのような『焼酎の元となる成分』と共に、『芋の繊維質』『クエン酸』『その他アレコレ』といった感じの『雑多な夾雑物』が含まれています。

で、この二次モロミなんですが、はっきりいって『飲めたもんじゃない』というレベルの味だったりします。

実際に私、二次モロミを舐めて確かめた事があるのですが、『やたらと酸っぱくて、ざらざらした芋風味のおかゆ』とでも言うべき残念なお味でした。。。orz

このような状態ですので、我々が焼酎としてこれを楽しむためには、二次モロミ中に含まれる焼酎の元(=エタノール、香気成分、水)を選り分けて、取り出してあげる必要があるわけです。

ではどうやって取り出すかというと、『揮発性』という物理化学的な性質の違いを利用します。

つまり、

  • 焼酎の元となる成分(エタノール、香気成分、水など)=揮発性成分=熱を加えると気体になり、冷やすと再び液体に戻る成分
  • その他の夾雑物=不揮発性成分=熱を加えても気体にならない成分

二次モロミ中の成分は、ざっくりいうとこんなイメージでして、物理化学的な性質から二種類に分類されるんですね。

そのため、『二次モロミに熱を加える事で、焼酎の元となる揮発成分のみを取り出す』という事が可能になります。

とはいっても、なんだか小難しい理屈なので、『蒸留とは、二次モロミから焼酎を取り出すための、なんだか凄い科学の魔法(火属性)』って考えて貰えれば、それでよろしいかと!

STEP1|蒸留機に二次モロミを入れる

さてさて、実際の作業の解説に移りましょう。

まずは蒸留機に二次モロミを投入するのですが、この装置がため息が出るくらいにカッコいい!

ほらね?

蒸留機

『機能美』という言葉がぴったりの無骨なデザインが個人的にお気に入りです^^

ちなみに、裏側からみると、もっともっとカッコいいんですよ!

蒸留機

タミヤあたりからこの蒸留塔の1/12スケールのプラモデルが発売されたら、私なら喜んで買っちゃいます!

STEP2|蒸気を吹き込んで加熱し、アルコール成分、香気成分を気化させる(水蒸気蒸留)

続きまして、二次モロミを加熱して焼酎成分を気体に変化させる段階です。

私たちの蔵にある蒸留機は、『水蒸気蒸留』というメカニズムで動いてまして、二次モロミにアツアツの水蒸気を吹き込んで加熱する方法が採用されています。

で、実際に二次モロミを加熱してる時の写真がこちら。

黄色いおかゆ状の二次モロミに対して、下から水蒸気を吹き込んでいるのですが、写真だと少しわかりづらいかもですね^^;

ってなわけで、動画を撮ってみました。

 

黄色い二次もろみが、タンク内でグラグラグツグツと加熱されてるのがわかるかと思います。

この操作により二次モロミに含まれる揮発性成分が気体として分離されます。

STEP3|気体状態の焼酎成分を冷却して液化させる

気体へと変化した焼酎の成分。

その運命はいかに!?

というお話なのですが、まず以下の写真をご覧ください。

蒸留

 

ざっくりこの工程を説明すると・・・

  1. タンク内で二次もろみが水蒸気により加熱される(①の赤)
  2. 焼酎成分が煙突上の筒を気体として通過する(②のオレンジ)
  3. 気化した焼酎成分が冷却管へと到達する(③の青)
  4. 冷却管は冷水で常に冷えた状態にあるため、ここで気体としての焼酎成分が冷却され、液体へと戻る
  5. 『焼酎、できたー』となる♪(④の緑)

という感じでして、この『蒸留』という工程を経て、晴れて液体としての焼酎が二次モロミから分離されます。

せっかくですので、出来立てホヤホヤの焼酎をお披露目しますね。

こんな感じです♪

白く濁っているのは水に溶けにくい成分も含まれているためです。
この濁りは蒸留の進行と共に常に変化し、最終的には無色透明の液体となります。

この段階で得られる焼酎の事を『原酒』と呼び、アルコール濃度は38度前後と少し高めの状態です。

この原酒は、カメで寝かせる事で丸みを帯びた柔らかい風味へと熟成されます。
その後に水を加えてアルコール濃度を調整し・・・

『おらが村の焼酎、完成!』となります。

 

以上、二次モロミから焼酎を取り出す奇跡の魔法、『蒸留』のお話でした。

鹿児島の南にポツンと存在する国境の島で、銀ピカに輝くカッコいい蒸留機を駆使して、我々は焼酎を造っています。

皆様の手元に我々の焼酎が届いた時にでも、このお話を思い出して貰えると嬉しいです♪

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